
親に話を聞いてもらえなくて辛い。親はなぜ話を聞かないのだろうか。会話をしても否定ばかり、話をしていても疲れる。聞いてくれるだけでいいのに。やっと聞いてもらえたと思ったら自分の苦労話を始める…
会話というのはコミュニケーションの基礎です。私たちは言葉を使って自分の感情を相手に伝えたり、相手のことを知ったりします。
しかし冒頭のように、親とまともな会話がない中で育つと、自分の感情が分からなくなり、顔色を伺って行動するようになるため社会に出てから様々な問題が起こります。
でも、それはあなたが悪いわけではありません。親との関係性の中に問題があります。
愛着障害で悩んでいる方の多くも、親にしっかりと話を聞いてもらえずに育っている方が多いです。私のクライアントさんもほとんどが、まともな会話がない家庭で育っています。
親と子供の関係は生まれてから最初に触れるコミュニティ。小さな社会でもあります。
その最初のコミュニティでコミュニケーションの基礎となる「話を聞いてもらう」という時間がなく育ってしまうと、あなたの生きづらさにつながります。
友達とうまくいかない、会社で自分の意見を言えない、会話しているその時じゃなくて後から悲しくなったり落ち込んだりする、人に対して「嫌」と言えない
などなど…
そういったことで悩んでいるなら、原因はあなたじゃなくて、あなたの親があなたの話を聞いてこなかったからかもしれません。
親が話を聞かない
下記の項目に当てはまるなら、あなたは親にしっかりと話を聴いてもらっていません。
- 親に話を聴いてもらったことがほとんどない
- 親に話をしているといつの間にか親の話にすりかえられる
- 親に話をしてももやもやしてしまう
- 反対に親の話しや愚痴を聴くことが多かった
私自身、親に話を聞いてもらえずに育ちました。話かけても「今忙しい」と言われ、やっと話を聞いてくれたとしても「でもね」「あんたには無理」「何ワガママ言っているの」と否定ばかり。次第に顔色を伺って話しかけるようになります。
一度、とても辛いことがあってどうしても話を聞いてほしくて電話をしたことがあります。
でも私の話を最後まで聞かないどころか、急激に怒り出します。ただ聞いて「そうなんだ、それで辛かったんだね」と言ってくれるだけで救われるのに。それさえも親は言いませんでした。
また、話を聞いてもらえないのは自分に興味がないからだ。話しかけても怒られるのは自分のせいなのだ。と思うようになり自分に自信が持てなくなりました。
自分の言うことは全て間違っていて、だから母親は否定するのだと。そうなると、学校できちんと相手に「嫌だ」と言わないといけないシーンでも、声を上げることができません。
明らかに自分が間違ってないのに、話をきちんと聞いてもらえてないので「自分が間違っていない」と思えなくなるんです。
親に話を聞いてもらえないと生きづらいのはなぜか
親に話を聞いてもらえないと社会に出てこんなことで悩んだりします。
- 人と何を話していいかわからない
- 相手が話している意味がわからない事が多い
- 人から嫌なことを言われても気づくのはいつも後から
- 人に対して嫌なことを嫌と言えない
- 何が正しいか正しくないかわからない
- 自分の発言に自信が持てない
- 親と同じような嫌な事を言ってしまい自己嫌悪になる事がある
- いつも心のどこかで話を聴いてもらいたいと思っている
- みんなの中に入れず一人でいることが多い
このような状況になり、人間関係でずっと悩み続けることになります。
機能不全家庭で育った方や、愛着障害で悩んでいる方はこのように人間関係で悩んでいても、原因が親と自分との関係性にあるということを知らない方が多いです。
私も大人になりずっと人間関係で悩んできましたが、まさかその原因が親との関係性にあるとは思いもしませんでした。
単に親から話しを聴いてもらってなかった、親との会話がなかったことが原因なのに、社会でうまくいかない理由を「自分が変だから、自分がダメだからだ」と自分をずっーと責め続けてしまいます。
あなたは悪くないのに自分を責め続けてしまうせいで、余計に友人関係、男性との関係、職場での人間関係に悩み続け、生きづらさを抱えてしまうのです。
それはとても辛いことです。
子供にとって親に話を聞いてもらいたいということは、何も「自分の意見を押し通したい」わけではありません。文字通り聞いてくれるだけでいいのです。
話を全部聞く=話の内容に同意するということではありません。
「自分の話を聞いてもらえる」ということは、「自分の感情を受け止めてもらえる」ということです。自分が素直に出した感情を受け止めてくれる相手がいるということは生きていく上でとても大切なこと。
小さい時から話を聞かない親と共に育っていると、自分の感情の伝え方が分からないので、自分自身のことが分からなくなります。
普通は「今日はこういうことがあってね、とても嬉しかった」「今日は○○くんと喧嘩してねとても悲しかった」など、親との会話の中で子供は自分の感情を出していき、受け止めてもらえることで嬉しかったことや悲しかったことを咀嚼していきます。
しかし、話を聞いてもらえないと、自分のその感情に自信が持てなくなります。また、自分の感情を吐き出す場所がないため、感情が溜まります。
話を聞いてもらえないと感情が溜まる
感情は溜まります。溜まった感情はあなたの本当の感情を邪魔します。
例えば短かなことであれば
「何食べたい?」と聞かれて、心の奥底には自分が食べたいものがわかっているのにそれを口に出せません。なぜなら、溜まっている感情が邪魔しているからです。
食べたいものを言ったら怒られた記憶や、自分の意見を聞いてもらえなかった時の記憶。その時の感情は悲しみや怒りです。その感情が先に出てしまうので、本当は自分はどう思っているのかが分からなくなります。
また、社会に出て嫌な場面にあっても「嫌」と言うのが怖いです。自分の気持ちを伝えても聞いてもらえないか、否定されてきたから。またあの感情になるのが怖いんです。
親との関係性を思い出して、大人になって他人と話していても「NO」と言えなかったり、自分の気持ちを伝えることが苦手になります。
なので結果的に周りの人とうまくコミュニケーションが取れず、ますます孤独な気持ちになり、自分の感情や思っていることを人に話さなくなります。
感情が溜まると自分の気持ちが分からなくなり。何が楽しくて何が嫌で何がやりたくなくて…と、当たり前のことを見失います。人生の進むべき方向も分からなくなり、さらに悩みます。
負のループですね。
親は話を聴いてはくれないどうしたらいいの?
話を聞いてもらうことはそれほどに大切なことです。聞いてもらうだけで「自分に時間をとって話を聞いてくれる相手がいる」ということでもあるので、自分は愛されているのだと思うことができます。
あなたがもし、今までお話ししたようなことで悩んでいるなら話を聞いてもらう必要があります。最初は涙が出るかもしれません。自分の話を聞いてもらえて嬉しい気持ちも出てくるかもしれませんし、親のことを思い出して怒りが出てくるかもしれません。
それでもきちんと向き合ってくれる人に話をする必要があります。
じゃあ、あなたの話を聞いてくれる人って誰でしょうか?残念ながら今まであなたの話を聞いてくれなかった親が、明日から話を聞くようにはなりません。
親が聞いてくれれば全て解決しますが、その希望は望めません。
これは私も同じなのですが、よっぽど親自身が変わろうとしない限り、話を聞く大切さが分からない限りあなたが親に話を聞いてもらえることはないです。
しかし、話を聞いてもらわないと辛い状況が続くだけです。
トムハンクス主演の有名な映画「キャストアウェイ」ではトムハンクス演じる主人公が無人島に流されてしまうのですが、そんな彼が食べ物よりも何よりも大事にしたのが自分で作った人形です。
ボールに顔を描いて名前をつけて無人島で生活する間にずっと話しかけていたんですが、途中でそれを必死に追いかけるんですよ。今?なんでそれを必死に?ってぐらい追いかける。
でも、それぐらい、人が最後に求めるものって人と人との繋がりだったりします。
話を聞いてもらうって、それだけ(ときには無人島で食べ物よりも大切にしてしまうぐらい)価値があるのです。
じゃあ、私は誰に話を聞いて貰えばいいの?どうすればいいのよ?
はっきり言います。お金を払ってでも話を聞いてもらってください。
あなたの事をわかってくれるカウンセラーやコーチを探して、これまで親に聴いてもらえなかった話を、しっかり聴いてもらってください。
話しをしっかり聴いてもらったことがある人はわかるのですが、聴いてもらいたい話を、聴いてもらったら、それだけですっきりしますし、楽しい!嬉しい!って気持ちに必ずなれます。
大事なのは、ちゃんと話を聴いてもらえた!と思える人に聴いてもらうことです。最初からそういう人に辿り着かないかもしれません。
それでも諦めずにあなたにピッタリの人に、辿り着くまで探してください。あなたの人生が楽しいものに変わるために、最初にすることは、あなたが聴いてもらいたい話を、聴いてもらうことです。
話を聞いてもらえないから辛くなって、仕事をやめるよりも、ホストに通うよりも、最悪な男性と出会ってしまうよりもずっと建設的でいい投資です。
日本はまだまだカウンセリングを受ける方は少ないですが、海外では気軽にカウンセリングを受けて、自分の話を聞いてもらっています。映画でもよくそういうシーンがあります。
髪の毛を切るように、ネイルサロンに行くように、ちょっといい服を買うように。気軽にカウンセリングを受けて話を聞いてもらうだけで、人生が変わっていきますよ。