最近、「アダルトチルドレン」の言葉を知っている人が少しずつ増えてきました。本もたくさん出ていますね。
しかしアダルトチルドレンについて間違った解釈がされている場合も多く、心理カウンセラーも正しく認識していないのが現状です。
アダルトチルドレンについてよく知らないセラピスト、カウンセラーによる間違ったカウンセリングを受けることで余計に悪くなっているアダルトチルドレンの人がとても多いので、
これからアダルトチルドレンの意味とアダルトチルドレンの人がどういう人たちなのかを正しく知ってもらうためにお話したいと思います。
目次
1、アダルトチルドレンとは

アダルトチルドレンとはどういう意味で、どんな人たちのことをいうのでしょうか?
1-1、アダルトチルドレンの意味
アダルトチルドレンは病気でも病名でもありません。
アダルトチルドレン(AC)とは、1970年代にアメリカの社会福祉援助などケースワークの現場の人たちが、自分達の経験から得た知識により作り出したものであり、
アルコール依存症の親を持つ子供が、成長の過程での境遇(虐待、愛情不足、親の不在など)が影響して、考え方や感じ方に偏りが生じ、大人になっても生き辛さを抱えている人々を指していました。
その後、アメリカのソーシャルワーカー、クラウディア・ブラックにより、幼少期の環境や境遇が原因で、大人になっても生き辛さを抱えている人々は認知や考え方、感情の出かたに特徴を持つとして、そのような人々をアダルトチルドレンと呼ぶようになりました。
それでは、最近日本でも知られるようになった「アダルトチルドレン」ですが、日本ではどう解釈されているでしょうか?
今の日本の現状では、『アダルトチルドレン』の言葉は人によって定義もさまざまで、解釈も人によって違っている状況です。
学校に行き専門的に学んだ人、研究している人たちさえ『アダルトチルドレン』の本当の癒し方、改善のさせ方がまったく知られていないようです。
なので、日本でのアダルトチルドレンの改善事例は少なく、さまよい続けているアダルトチルドレンの人が多いのです。
また、心理学も心理療法もアメリカから持ち込まれたノウハウばかりで、日本人には合わないものが多くなっています。
アダルトチルドレン(AC)とは、子どもにとって安全で安心な場所として機能しない家庭(機能不全家庭)において、親、兄弟姉妹から肉体的、精神的な虐待を受けながら育った人たちのことを言います。
例えば、信じられない事ですが、母親が他の兄弟姉妹と一緒になって子どもの中の一人を仲間外れ、いじめるようなことが家庭の中で起こっています。
そういう対象にされた子どもは家庭以外の場所、保育園や学校、職場などでも仲間外れやいじめの対象にされている場合が多いのです。
このような幼少期のトラウマ(心の傷)が原因となって、心や人間関係に障害をもつようになり、大人になっても生きづらさを感じている人々のことを指します。
アダルトチルドレンは、時に「大人になりきれない子どもっぽい人たち」と解釈されることがありますが、それは大きな誤解で、アダルトチルドレンは、「子どもらしい」「無邪気な」子ども時代を過ごすことができず、むしろ、幼少の頃から大人として生きなければならなかった人たちのことです。
アダルトチルドレンの人たちは親の役割を知らない親、親の役割を放棄していた親に育てられ、親から本当の愛情をもらえず育った子どもたちのことを言うのです。
1-2、アダルトチルドレンとはどういう人のことか
アダルトチルドレンの人というのは以下のような特徴を持った人のことを言います。
☐母親との関係が悪かった。母親から父親や兄弟姉妹、人の悪口をさんざん聞かされてきた
☐父親との関係が悪かった。父親から母親の悪口や愚痴を聞かされることがあった
☐母親からコントロール、過干渉されてきた、母親に話を聞いてもらうこと、相談することができなかった
☐母親をかわいそうに思い、母親に尽くし、我慢をしてきた人生だった
☐母親からいつも否定されてきた、おかしいのはあなたのほうだと言われてきた
☐母親をどこかでおかしい、恥ずかしい、子どもっぽい人と思ってきた
☐完璧主義の母親、または勉強を必要以上に強要する母親、または無視をする母親、またはヒステリックな母親だった
☐好きなこと、楽しいことをしようとすると邪魔をしたり、やきもちを妬く母親だった
☐父親不在、父親のことはよくわからない、父親と会話がほとんどなかった、頼れない父親だった
☐ご飯を食べさせてもらって学校も出してもらった、だから親に感謝しなければいけないと思うが心から感謝することができない、そもそも「感謝する」ということがわからない
☐子どものころ、小さな子どもや小動物、昆虫などを見て腹が立つことがあった
☐家族で一番責任をとっていたのは自分で、面倒なことはいつも自分が処理してきた
☐親と一緒にいるとイライラしてしまって感情的になる、その理由を知って楽になりたい
☐完璧主義者で自分にも人にも厳しい。0か100、白か黒の両極端の考え方
☐職場で人に弱みを見せられず失敗しないように気を張っているため毎日へとへとに疲れる
☐休憩時間など人の目を気にしてゆっくり休めない、休むということがよくわからない
☐人を信用するとか、信頼関係がわからない
☐テレビを見ていて嫌いなタイプの人が出てくると、テレビに向かって愚痴ることが多い
☐一人でいるのは孤独で寂しいが、人と一緒にいると気を遣って疲れるので一人でいる方がマシだと思っている
☐ 頑張っているね、よくやっているねと言われるが、そう言われる意味がわからない
☐頑張り続けているのに、どうしていつまでたっても幸せにならないのだろう?と思っている
☐ 「NO」と断ることができないため、理不尽な要求に従ってしまう
☐自分を犠牲にして相手を助けたり世話をするが、相手はそれを当たり前に思って全く感謝されない
☐周りに依存してくる人ばかりでしんどい。いつも自分から与えるばかりで、与えてもらうことはほとんどない
☐ 幼少時から身体の不調がある(頭痛・肩こり・背中の痛みなど)、いつも身体がだるい
☐人の気持ちや感情に敏感でとても疲れる
☐どこにいても人に見られているような気がする、人がとても気になる
☐人と会話を楽しみたいが何を話していいのかわからず疲れる、話すことができない
☐人から言われたことがその瞬間にはわからない、後から意味がわかり腹が立つことが多い
☐泣いたらだめだと思っている、人前では泣けない
☐気になることが出来たら、そのことばかりずっと考えてしまう、夜も眠れなくなることが多い
☐家庭の中のことは人には言うなと親に言われていたため、自分のことをどこまで人に話していいかわからない
☐自分の中に軸がなく自信がない、いつもこれでいいのかと不安な気持ちを抱えている
☐どこかに自分の居場所がないかずっと探している、どこにいても不安になってしまう
☐どこかに自分のことをわかってくれる人はいないかと無意識でずっと探している
☐生きるとは何かを教えてくれる人がいればいいのにと思っている
☐自分を愛する、好きになる、自分には価値があるなどの意味がよくわからない
☐誰にも頼れなかったため、子どもの頃から自分一人でいくつもの修羅場を乗り越えてきた
☐人にお願いする、頼る、甘えることができない、「甘える」という意味がわからない
☐彼氏や夫・子供に対して、自分の思う通りにしてくれないことで必要以上に怒りを爆発させてしまう時がある
☐自分がお店に入ったり、列に並んだりした途端、なぜだか急に人が増える
いかがでしょうか?
私は45歳までアダルトチルドレンの言葉もアダルトチルドレンのことも知りませんでした。ですから、初めてこのチェック項目を読んだ時も、どれに当てはまるのかよくわからない状態でした。
それくらいアダルトチルドレンの人は自分のことがわからなくなっています、親のことを本当は嫌いなはずなのに「嫌いではありません、もうどうでもいいと思っています」と言う人もいます。
しかし、上記の項目に多く当てはまる場合、親との関係で何かしら問題を抱えているということになります。
これまで生きてきて痛感されていると思いますが、アダルトチルドレンの傾向が強いままだと、幸せな人間関係(親子、恋愛、夫婦、上司部下など)を築くことは大変困難になりますので、親との関係を根本的に見直すことをおすすめいたします。
1-3、アダルトチルドレンになる原因
ここでは人がなぜアダルトチルドレンになるのか原因を見ていきましょう。
ものすごく簡単に言うと、アダルトチルドレンは世代連鎖するので、それが原因となります。
子どもにとって安全で安心な場所として機能しない家庭(機能不全家庭)において、親、兄弟姉妹から肉体的、精神的な虐待を受けながら育った人がそのまま大人になります、
そして結婚し子どもが生まれ育てはじめます、人は自分の親を見て成長します、自分の家庭の中が普通と思って育ちます、その過程で他の親が子どもをどう育てるか、家庭の中の暮らしが自分の家庭とどう違うか知ることができません。
人は自分の中にないものは認識できない、知らないため、親が嫌いで親とは違う子育てをしようと思っても、どうしても親と同じ子育てをし、家庭環境をつくってしまうのです。(もちろんそうではない人も中にはいるでしょう)
こうして繰り返されるため、その家庭に子どもに生まれた人はアダルトチルドレンになるというわけです。
では、もう少し細かく見ていきたいと思います。
☐いつも両親が子どもの前で喧嘩をしていた
☐子どもの話は全く聞かない親だった
☐親の話や愚痴、人の悪口を子どもに聞かせるのが普通になっていた
☐子どもが親の話を聞かないと親が感情的に子どもを怒っていた
☐親が子どもの気持ちに寄り添うこと、一緒にいることがなかった
☐子どもがスキンシップを求めても嫌がられ、怒られていた
☐母親の手伝いをしたいと近づくと酷く怒られる、物事を優しく教えるということがなかった
☐母親の機嫌が悪いと子どもを無視する
☐親の感情次第でいつ怒られるかわからない
☐親に自分の意見を言うと人格や尊厳を否定される言葉を言われていた
☐罪の意識をうえつけられる家庭であった
☐愛情が欠如した寂しい家庭であった
☐子どもが傷つく言葉を言われていた
☐なんらかの脅しがある家庭だった
☐見捨てられることを言われる家庭であった
☐家庭内でおこっていることを外で話さないように言われていた
☐親の思い通りに制御されていた
☐他人や兄弟姉妹とたびたび比較されていた
☐家庭内のルールに一貫性がない親だった
☐他人の目を気にする、表面だけよくふるまう親だった
☐親の期待が大きすぎていた
☐親が子どもの容姿をからかっていた
☐自分の存在を否定されていた
☐親の責任を子どもが変わりにとっていた
☐親が子どもに家事を押し付けていた
以上のような親や家庭で育ったことが原因でアダルトチルドレンになります。
同じ原因でも親の愛情は少しずつ違います、その違いによりアダルトチルドレンの程度の差があるようです。
親の間違った愛情がアダルトチルドレンの原因となるのです。
1-4、アダルトチルドレンだとどうなるのか?
アダルトチルドレンの人は以下のような特徴、行動パターンになっている生き方をしているようです。
1-4-1、特徴
1、現実を生きている実感がない
2、生きることの意味が見出せない
3、心身の不調を抱えている
4、自分の心と身体を大切にできないでいる
5、無意識で人に親を求めてさまよっている
6、食べる物が偏っている(炭水化物、甘い物を好んで食べている)
7、自尊心の意味もわからず自尊心を持つことができなくなっている
8、この先の人生(未来)が不安、自分も未来も信じられない
9、親とは違う人生を生きたいと思いながら親とよく似た人生をいきている
10、過去の記憶を失っている部分がある
11、自分のことがほとんどわかっていない
12、何も出来ないような人に見られることが多く、やっぱり自分はダメなんだと勘違いしている(実は人よりできていることが多いのに)
13、周りの人には笑いたくなくても笑っているが、家庭の中ではいつも不機嫌な顔をしている
14、無感情、感情がわからない、泣くことができない、ほとんど笑わない
1-4-2、行動パターン
①子どもの頃からどんなに頑張っても親から認める言葉もなく誉められることもなかったため、いつか親に認めさせようと無意識で求めているため必要以上に頑張り過ぎています。どこでも人の責任まで取って頑張っているし、人から責任を押し付けられることが多いです。
②親が子どもの幼少時から大人と同じように頑張らさせすぎているため、大人になった時にはすでに疲れ果てています。その状態で大人になった時に更に物事を完璧にしようとするため、疲れてしまい長続きしないことが多くなって、また自分を責めてしまうということが起きています。途中経過を楽しんでいいこと、完璧にしなくていいことを知ることで楽になりますが、そうなれるまでは時間がかかります。
③失敗することを必要以上に恐れています。子どもの頃からちょっとしたことで親が凄い勢いで怒っていたため、失敗はダメなことと思っています。失敗が見つかったら自分はもう終わりだと思っています。そのため嘘をついてしまうこともあります。
④心から楽しむことができません。楽しく遊んでいたら親から怒られる経験をたくさんしています。また親も楽しむことができず真面目に生きている人が多いため、楽しいことをしている時も親への罪悪感から心から楽しめません。
⑤考え方が白か黒かになっているため、行動も極端です。その間を許すことができません。真面目に考えすぎてしまうことが多く、自分に対して決まり事も多く、そこから出た時は罪悪感で自分を苦しめます。また、人の好き嫌いがはっきりしてます。
⑥いつも自分を否定しています。頭の中にある言葉は自分を否定する言葉でたくさん埋め尽くされています。親が幼少時から否定する言葉をかけてきたため、頭の中でいつもその言葉が繰り返されて、罰を与えるようなことをする場合もあります。
⑦いつも焦っている。落ち着いて見せているようでも内心はいつも不安と焦りで落ち着いていません。人のことがいつも気になり、人から見られている、人から悪口を言われていると考えてしまいます。
⑧人や環境の変化に敏感です。「この人はおかしい、何だか嫌だ」「ここにはいたくない、何かが変だ」とすぐにわかります、しかし、それは自分がおかしいと思ってしまうため我慢の限界まで付き合ったり、その場所にとどまることをしています。
⑨人と親密な関係を持つことが困難です。人との関係の根本は親との関係です。親との間に信頼関係がないため、人と信頼関係をつくることができません。そもそも信頼するということがわかっていません。
⑩無意識で人に親を求めてしまいます。親を求めても甘えることを知らないため、甘えることはできません。反対に無意識で親にしてもらいたかったことを人に尽くします。尽くしますが相手からは同じように何も返ってこないため、我慢の限界がくるとその関係をいきなり絶ってしまいます。
⑪親に認められるため頑張っていたため、社会に出ても人に認めてもらうためだけに行動しています。自分のために頑張るということがわかっていません。自分の意見や行動に自信がなく、一人一人に合わせてしまうためとても疲れています。
⑫常識も世界観も人によって違うという事がわかっていません。世界が狭くなっています。親が自分以外の考え方や世界観を認めることができず、人を非難ばかりしていてそれを子どもに聞かせていたためです。そのため常に孤独を感じて生きています。
⑬自分を客観的に見ることができません。
⑭感情的、衝動的になる時があります。どこまでも我慢してしまうため、我慢の限界が来た時には瞬間的に爆発する場合があります。
⑮恋愛関係、夫婦関係、子どもとの関係が共依存になっている場合が多く見られます。
⑯休日も何かしなければいけないと思っているため、ゆっくり家で過ごすことができず、必ず出かけなければいけないと思っています。それでいつも疲れています。
⑰仕事、家事、育児、を完璧にしないといけないと思っていて、できない自分を責めています。疲れている時などはパニックになることもあります。
⑱買い物、食べ物、異性に依存する場合があります。必要ない物まで買ってしまい、箱や袋から出さずそのままにしている物がある。 過食症、拒食症になってしまう。好きでもないのに付き合ったり結婚している。
まとめ
アダルトチルドレンとは病気でもなければ病名でもないということです。
親の役割を知らない親、親の役割を放棄していた親に育てられ、親から本当の愛情をもらえず育った子どもたちのことで、子どもにとって安全で安心な場所として機能しない家庭(機能不全家庭)において、親、兄弟姉妹から肉体的、精神的な虐待を受けながら育ち、
「子どもらしい」「無邪気な」子ども時代を過ごすことができず、むしろ、幼少の頃から大人として生きなければならなかった人たちのことを言います。